仏報ウォッチリスト

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 阿修羅展を見た



まず、これを「阿修羅展」だと言い切ってしまったのがうまい。ネーミングの勝利ですね。
実は、それだけのコンセプトでないことは、行けば分かります。
なにしろ第1室に入ると、かつてお堂の下に埋められていた鎮壇具1400点。ここらで「うわ、やられた」と気づかなきゃいけません。
さらに進むと鳴り物の華原磬に続いて、お釈迦さまの十大弟子と守護神の八部衆がずらり(うち1体が阿修羅。ちょっと離れていますけど)。そこを過ぎて四天王像、脇侍像が立ち並ぶ先に、本尊の釈迦如来像(の頭部)。
ああ、これはお寺の本堂そのものじゃないですか。
つまり単なる阿修羅展などではなく、ここ東博平成館を借りて現在再建中の興福寺中金堂を一足早く再現してしまったわけです。関係者が言う「天平の文化空間の再構成」、その壮大なプレイベント。すごいなこれは。
ですから、「阿修羅をお寺がよく出したねえ」などという感想は的を射ていません。これだけのお膳立てが揃って、仏さまたちは喜び勇んでお出ましになったのだと私には思えます。