仏報ウォッチリスト

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 「百万」

国立能楽堂興福寺勧進能で「百万」を見ました。
この作品は2012年2月以来、2回目の鑑賞。その間に見た子を失う話と比べ、当作はかなり早い段階で子が母の存在に気づきます。その確証を得るためしばらく遠くから見ていて、クライマックスで名乗り出る。早く言ってくれればよけいな恥をかかずに済んだのにと母が嘆くのはもっとも。「とは思へども」で気持ちが治まって大団円。こういう構成なのはやはりシテの曲舞を見せるのが眼目だからでしょう。
詞章で印象的な単語が「鸚鵡」「車」そして「優曇華」。鸚鵡は逢わむに通じ。車は三車や乗り=法を導き、優曇華は盲亀浮木と響き合います。かつては車の作り物も出たと資料にあります。
舞台は嵯峨清凉寺ですが、子が行方不明になったのが西大寺であったこと、ワキは僧ではなくただの男であったことを今回知りました。