仏報ウォッチリスト

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 石山寺の美を見た

そごう美術館で「石山寺の美 観音・紫式部源氏物語」(3/29まで)を見ました。
滋賀県石山寺真言宗の観音霊場。かつて石山詣に訪れた紫式部源氏物語の想を得たと言われます。出品は寺所蔵の仏教関連の品々、執筆中の紫式部の姿を描いた絵、そして源氏物語の場面を主題とした屏風や工芸品など。
アイディアのひらめいた紫式部が堂内にあった経典にメモって、おわびに自ら書写し直して奉納した「大般若経」の経巻が展示されています。キャプションに〈鎌倉時代〉とあるのがご愛嬌。そのほかにも当巡回展の図録には経典類が多数載っていますが、この会場での展示はずいぶん少ないのが残念。
源氏モノを眺めてつくづく思ったのは、その商品価値の高さと息の長さです。作者は石山寺の出身ではなく、生みだされた物語はこの地を舞台とするのでもありません。なのに同寺では源氏を「ゆかり」だけで千年間引っ張ってきたわけです。いや、べつに揶揄するつもりは毛頭なくて、ただ驚嘆している次第。石山寺は良弁僧正が開基で由緒正しく、真言密教道場としても名高いのですが、源氏で他のすべてが霞んでしまっている感じ。たとえるなら、元来は格闘技場である日本武道館が、別の利用目的で聖地と化しているのにも似ている気がします。
同展はこのあと、富山県水墨美術館浜松市美術館北九州市立美術館に巡回予定。