仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 「采女」「鵜飼」

宝生能楽堂で、お能「采女(うねめ)」を見ました。6年ぶり2回目。前回2008-07-21
小書「美奈保之伝」は、道行省略、前シテ登場の演出変更、詞章改訂など、原曲とずいぶん違うもようで、謡曲集を見ながらどこが違うのかを確認するのが大変。でもこういう見方はつまらないと反省。後シテの小夜姫(さよひめ)という面が美しく見とれました。
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狂言「月見座頭」に、昨今話題になっていた盲目の者に危害を与えるという場面が合ってハッと驚きました。
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続いて、お能「鵜飼(うかい)」、同じく6年ぶり2回目。前回2008-03-29
前回のメモに後シテを閻魔大王と書いていますが、今回のパンフには地獄ノ鬼とあります。この上演の小書「空之働」も省略個所多数で迷子に。
後半は法華経礼讃。石に経文を一字ずつ書いて川に沈めれば「などかは浮かまざるべき」。
「法華のみのり(御法/乗)の助け舟、篝り火も浮かむ気色かな。迷いの多きうきくも(憂/浮雲)も、実相の風荒く吹いて、千里の外も雲晴れて、真如の月や出でぬらん」
「経とはなどや名づくらん。それ聖教の都名にて、二つもなく、三つもなく、ただ一乗の徳によりて、奈落に沈み果てて、浮かみがたき悪人の、仏果を得んことは、この経の力ならずや」
水の流れ、浮き沈み、光と影、そうしたイメージは言うまでもなく鵜飼の生業にピタリと重なり合います。