仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

履歴

 久米邦武と能楽展

久米美術館で「久米邦武と能楽展」を見ました。サブタイトルは「岩倉具視の能楽再興を支えた人物(ブレーン)」。 能楽は700年近い歴史上で3度、存続が危ぶまれました。応仁の乱、太平洋戦争敗戦にまさる最大の危機だったのが明治維新。幕府や大名の庇護を失…

 お能「当麻」

喜多能楽堂でお能「当麻(たえま)」を見ました。『死者の書』などでおなじみの中将姫と当麻曼荼羅のお話。春彼岸の中日、当麻寺を参詣した念仏僧の前に現れる化尼と化女は、実は阿弥陀如来と観音菩薩。続いて現れた中将姫の舞がクライマックスです。 キーワ…

 館仏三昧/禅機画

早稲田大学會津八一記念博物館で、企画展「禅機画」展と、特集展示「館仏三昧」展を見ました。 「禅機画」展は、主に江戸期の禅僧が描いた掛け軸20点あまりをまとめて公開。とりわけ仙がいの3作品が構図の妙で目立ちます。著名なのは仙がいくらいで、あとは…

 「井上円了」展

丸善丸の内本店で特別展示「存在の謎に挑む 哲学者・井上円了」を見ました。東洋大学が創立125周年記念事業として所蔵品を展示するものですが、たんに内輪向けの企画ではなく、ふだんあまりなじみのない分野の品々を一般向けに見せてくれます。 主軸は東洋大…

 「型紙スタイル」

三菱一号館美術館で「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」を見ました。たまたま通りかかって予備知識もなく入館したのですが、良い企画というのはおのずとその意図が伝わってくるものですね。 織物を染めるときに模様を転写する型紙が欧米に渡り、…

 雪舟「山水長巻」

前項に続いて、サントリー美術館で「毛利家の至宝 大名文化の精粋」を鑑賞しました。もとより戦国武将には興味がないのでそのあたりの展示はパスし、本展の目玉である〈国宝・雪舟筆「山水長巻」特別公開〉に集中。全長16メートルをじりじり進む長い列に2回…

 観世宗家の至宝

大倉集古館で「観世宗家の至宝」を見ました。能楽を大成して以来この業界の中核であり続けてきた観世流宗家の所有品を展示。狭い世界で受け継いできたからこそ今日まで命脈を保ってきた、その証しのような展覧会です。 舞台芸能の魅力が小道具の陳列だけで伝…

 お能「桜川」

宝生能楽堂でお能「桜川(さくらがわ)」を見ました。 我が家の家計を助けようと自分の身を売った男児。手紙で事情を知った母親は我が子の行方を追う。桜子(さくらご)と名のる子は常陸国の寺の弟子となっていた。桜川べりに咲く桜に我が子の名を重ね合わせ…

 お能「誓願寺」

国立能楽堂でお能「誓願寺」を見ました。シテが和泉式部でワキが一遍上人というちょっと込み入った構成。典拠は「洛陽誓願寺縁起」だそうです。 誓願寺と書かれた額を和泉式部の霊の提案に従って南無阿弥陀仏の名号に替えたところ、阿弥陀如来と二十五菩薩が…

 ボストン美術館展

東京国立博物館で特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」を見ました。 海外で随一の日本美術コレクションから約90点が一時帰国。仏教美術から絵巻、水墨画、近世絵画と多岐にわたる欲張りな構成。インパクトがあったのは、仏画と曽我蕭白でした。 入場して…

 展覧会「法隆寺展」

日本橋高島屋で「聖徳太子1390年御遠忌記念 法隆寺展」を見ました。 法隆寺の宝物約130点。デパートの催しなので重要文化財などはないものの、目を引く品々を広く集めています。円空仏とか鍋島色絵皿とか、こんなものまで持っているのかと感心しきり。太子像…

 展覧会「古筆手鑑」

出光美術館で展覧会「古筆手鑑 国宝『見努世友』と『藻塩草』」を見ました。 手鑑とは歌集や経文の断片を集めて貼り付けたスクラップブックで、うまい字や美しい紙を鑑賞するため江戸時代に作られました。世に三大手鑑と言われる『見努世友』(出光美術館蔵…

 お能「百万」

宝生能楽堂でお能「百万(ひゃくまん)」を見ました。 大念仏の行事が行われている嵯峨清凉寺の境内で生き別れた息子を探す狂女・百万が、僧に伴われて訪れた我が子と再会する物語。女は曲舞(くせまい)の踊手で、悲しみに沈みながらも、子に逢いたい一心で…

 故宮博物院200選

東京国立博物館で特別展「北京故宮博物院200選」を見ました。 明・清の皇宮だった紫禁城=故宮が所蔵する名宝から選りすぐりの書画や工芸品を展示。会場は大きく二つに分かれ、第1部は中国の一級文物を中心とする逸品がずらり。門外不出の「清明上河図」(現…

 お能「巴」

国立能楽堂でお能「巴(ともえ)」を見ました。 源義仲(木曽義仲)に付き従った女武者・巴御前の霊が語る義仲の最期。戦場で息も絶え絶えな義仲が、共に果てようとする巴を制して我が遺品を故郷に届けよと頼む。奮起した巴がなぎなたで敵に立ち向かう場面が…

 「黄檗文化の魅力」

日本橋高島屋8階ホールで展覧会「隠元禅師と黄檗文化の魅力」を見ました。萬福寺開創350周年として2011年春に九州国立博物館で開催された「黄檗」展(未見)のおそらくミニチュア版。だいぶ端折られていることと思いますが、それでも“魅力”を伝えるには十分…

 ゆく年くる年

数多くの神社仏閣が紹介されるNHKテレビ「ゆく年くる年」。毎年、放送を見ながら登場した中継地をメモしています。ところが今年は放送が始まる前に、中継予定地を記した報道資料があることを知りました。ここにリンクすれば事は済むのですが、いつまで公開さ…

 「像内納入品の世界」

神奈川県立金沢文庫で特別展「仏像からのメッセージ 像内納入品の世界」を見ました。木彫像の体内に納入されてきた宝物を取り出して展示。20例ほどのうち仏像自体も6体出品されていますがこれらはあくまで参考陳列で、メインは納入品そのものという珍しい企…

 「大会」と「梅枝」

宝生能楽堂でお能「大会(だいえ)」を見ました。なんとも奇想天外な物語。 天狗が比叡山の僧に命を助けられる→天狗が山伏姿で現れてお礼に望みを叶えてあげると申し出る→僧が霊鷲山上での釈尊の説法を見たいと望む→天狗たちが説法の場面を再現する→帝釈天が…

 お能「野守」

国立能楽堂でお能「野守」を見ました。 春日野を舞台とする世阿弥作の鬼能。羽黒山の山伏が野守翁に由緒ありげな池の話を聞くのが前半。水面に姿を映す水鏡から展開して、後半は実際に鏡を持つ鬼神の登場。舞いながらこの春日野の地の下にある地獄と上にある…

 「法然と親鸞」再び

東京国立博物館の特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」に、展示替え後の作品を見るため再訪しました。 「興善寺蔵・源空書状」は、法然上人の手紙の裏に結縁者の名前をずらりと書き記したもの。展示はもちろん手紙の面。図録だと両面の字がぶつかりあって見え…

 「法然と親鸞」展

東京国立博物館で「法然と親鸞 ゆかりの名宝」を見ました。法然上人800回忌と親鸞聖人750回忌を記念して両祖に関する作品約190件を集めた大規模な特別展です。 最初の部屋にはお二人の御影と直筆が並びます。いきなりハイライトともいえる展示に釘付け。同じ…

 埼玉の「円空」展

埼玉県立歴史と民俗の博物館で「円空 こころを刻む 埼玉の諸像を中心に」を見ました。江戸時代の円空作の木彫像が約170体並ぶさまは圧巻です。 なにゆえに埼玉なのかというと、実は円空の作品が生まれ育った岐阜・愛知に次いで多いのだそうです。その理由は…

 飛鳥3館の特別展

飛鳥で3つの特別展を見てきました。飛鳥・藤原ミュージアムネットワークという新たなプロジェクトの連携企画です。 * 奈良県立橿原考古学研究所付属博物館「仏教伝来」は、大和各地での仏教受容を瓦などの発掘物で検証。地域別に、なじみがある飛鳥、斑鳩の…

 「天台仏教への道」

MIHO MUSEUMで「神仏います近江 天台仏教への道 永遠の釈迦を求めて」を見ました。3館連携特別展の1つで、副題のとおりインド仏教から伝教大師最澄までを辿る企画です。 仏教概論をざっくりとビジュアル化した感じ。同館の収蔵品に滋賀県内の宝物を加えて立…

 「春日の風景」

根津美術館で特別展「春日の風景 麗しき聖地のイメージ」を見ました。奈良の春日大社(伝統的な呼び名としては春日社)の信仰を表現した中世絵画の展覧会で、中心は20点あまり並んだ「春日宮曼荼羅」。 この「宮曼荼羅」というのが特異なジャンルです。マン…

 「通小町」「六浦」

宝生能楽堂の銕仙会定期公演でお能「通小町(かよいこまち)」と「六浦(むつら)」を見ました。 ◆ 「通小町」は、小野小町に惚れた深草の少将が、百夜通えばという条件を真に受けて通いつめるも九十九夜で断念、その妄執は二人の死後も続いていたというお話…

 「笑のこころ」展

出光美術館で展覧会「大雅・蕪村・玉堂・仙がい 「笑」のこころ」を見ました(がいは崖の山がない漢字)。 江戸時代中期の池大雅・与謝蕪村・浦上玉堂は、文人画家というジャンルで括られます。文人画とはもともと中国の官僚がなぐさみに描いた絵のことで、…

 「橋」「青木繁」

三井記念美術館で特別展「日本美術にみる橋ものがたり 天橋立から日本橋まで」を見ました。 会場のすぐそばにある日本橋の架橋100年記念ということで、橋の描かれた浮世絵や山水画、茶碗や硯箱などを集めた橋づくしのユニークな展覧会。改めて注目すると、な…

 「殺生石」を見た

宝生能楽堂でお能「殺生石」を見ました。三国で悪事をはたらいていた化け物が僧に供養されるお話です。 展開はシンプルなのですが、背景にさまざまな説話が絡み合っていています。鳥羽院に仕えた美女玉藻前、安倍泰成の占い、那須野の狐、三浦介と上総介によ…